道を歩いていると、私達はモンスター(というかクマ)と鉢合わせした。
Burdとマーティンは剣を抜き、構えた。

「殿下、危険ですから下がっていて下さい!」
「いや、大丈夫だ、私もこのくらいの相手なら問題ない」
熊が唸り声を上げて襲い掛かった。

すぐ側でダガーを振り回して応戦するマーティンの攻撃が当たりそうになり、Burdはあわててマーティンに向かって叫んだ。
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「のわっ!で、殿下!私を刺す気ですかっ!危ないですからもう少し離れて下さいよ!」
「ん?なんだって?聞こえなかった。もう一度言ってくれ!」
マーティンはBurdの言葉が聞こえなかったらしく、そのまま側に張り付いたまま熊に攻撃を続けた。
「離れてて下さいって言ったんですっ!!」
Burdは怒ってるのか泣いてるのかわからない妙な声で叫んだ。
「離れろ?友が君の側から離れるなと言うからくっついていたんだが、嫌だったのか?」
マーティンは慣れた動きでクマを牽制しつつBurdを見上げて聞き返した。
「あのですね、嫌とかそういう問題ではなくてですな、そりゃ側にいてもらわないと困りますよ?でも戦っている時は離れてて下さいっ!近くでダガー振り回されては危なっかしくて戦いに集中出来ないし、私の攻撃が殿下に当たったらどうするんですか!」
二人は何かワアワア言い合いながら熊と戦っていたが、慣れたもので怪我も無く倒してしまった。

「この辺りの熊は凶暴ですから気をつけてくださいよ。旅人が襲われて命を落とすことがよくあるんですから」
Burdは倒されたばかりの熊を前にして忠告した。
「殿下、戦闘はBurdに任せておけば大丈夫よ。もちろん殿下も強いけれど、ね」
「ああ、さすがはJauffreのお墨付きのガードキャプテンだけのことはある。私は一歩下がって彼に任せておけば何も心配することはないな」
「あ~、君たち?私の話聞いているようで聞いてませんね?」
褒めたはずなのにBurdは嫌そうな顔をしていた。
「褒めてるのに、なんでそんな顔するの」
「私は褒められるのが嫌いなんだ。見え透いた言葉で褒められたって嬉しくありませんから」
「ちょっと、私はともかく殿下に褒められてそんな風に言うのって失礼よ」
「すみませんな、今のは言葉の綾です。殿下、貴方に対して言ったわけではないので御容赦願いたい。とにかく、冗談や自慢話は私も好きなので乗りますが、強情張られたりワザとらしい褒め方は貴公相手といえど気に食わんのですよ」

「わかったわよ、今度から気をつけるから」
今日は珍しく本音でズバズバ言ってくる。
やっぱり、Burdは内心怒っているんだろうか?
でも、例の服は返したくないのよねぇ。
Brumaガードの服が一番気に入ってるから。
「傍らから見ていて面白いので止めたくないんだが、二人とも喧嘩はそこまでにして早く行かないか。門限までに帰らないとJauffreを怒らせてしまいかねない」
「も、門限ですと?」
Burdが呆気にとられたような表情になった。
「門限は大袈裟な言い方だが、日が落ちるまでには帰ってくるようにと約束されてる。そういうことには妙に彼は厳しくてね」
「まるで父親のようですな」
「Jauffreは私にとっては父も同然だよ。ああ、私がそんなことを言っていたなどと本人には言わないようにな。驚いて気が動転して倒れたりでもしたら大変だ」
その言葉、きっとJauffre会長が聞いたら喜ぶんじゃないかしら。
それからさらに先へ進んでいると、バンディットが襲い掛かってきた。

「こいつは私に任せて殿下は下がっててください!」
Burdはマーティンをかばう様に前に出て、山賊を迎え撃った。
なんというか普通にBurdは強いので、ここでも軽く敵を倒してしまった。
「さすがだな、Burd隊長。ますますブレードとして君が欲しくなったよ。なぜかは知らないが鎧もすでに一式持っているようだし、そのままブレードに入隊しないか?」
マーティンは少年のような笑顔を見せてBurdを誘ってきた。
「殿下、お言葉は有り難いのですが、自分はBrumaガード所属の身分でいてこそ力を本領発揮できると思っているので、ブレードになるような事は考えられんのですよ」
「それは残念だな。ブレードの姿が君ほど似合う輩は他にはいないと思っていたのだが・・・」
「似合うって・・・殿下、だからそういう褒め方はしないで下さいと(泣)」
しばらく歩いていると、自分でも気がつかないうちにわき道に逸れてしまい、妙な場所に来てしまった。
そこは誰も居ないキャンプの跡地だった。

後ろを振り返るとBurdの姿が無い。
あら?さっきまで後ろにいたはずなのに。
「殿下、Burdがいないんだけど、どこに行ったか知りませんか?」

「Burd?おや、言われて見れば彼の姿が無いな。さっきまで私の横にいたはずなんだが・・・すまない、気がつかなかったよ」
マーティンは周囲を見回してすまなそうに私にそう答えた。
地図を見てみた。

なんだか名前が危険。
どうもここは曰くつきっぽい場所のようだ。
キャンプの跡地を調べてみると、寝袋の横には酒や本が置かれ、焚き火の近くの地面には一挺の斧が意味ありげに落ちていた。
・・・気味が悪くなってきた。
ここは早く離れた方がいいかなあ・・・と後ろに振り向いた瞬間、
「キャアアアアァァァァ!(lllДlll)」
背後に剣を持ち構えたBurdが突っ立っていて私は死ぬほど驚いた。
「(((;゜ロ゜))な、なによ、びっくりしたじゃない!剣構えて後ろに突っ立ってるなんて脅かしすぎよ!!」
「ははは、今の貴公の驚き方は面白かったですぞ。くつろいでいる時に、いきなり背後から貴公にスニークアタックされる可哀想な私の気持ちがわかりましたか?いや、今はそんな悠長な事を言ってる場合じゃない。ここには何かいますぞ!気をつけて下さい!」
「何かいるって・・・誰もいないじゃない。それよりどこに行ってたのよ、殿下の側に居てって言ったでしょ」
「失礼、何かの気配を感じましてな。それを追いかけたのですが見失ってしまって」
「何もいないわよ。剣収めたら?」

「いいや居ますっ!貴公が鈍感なので気がついてないだけですよっ!」
Burdは必死に訴えてくるが、周りからは何の音も聞こえないし、誰もいない。
マーティンはどうなのか聞いてみようとすると、突然マーティンも何かの気配を察したらしく剣を抜いた。

「友よ、彼の言うとおり何か居るようだ、気をつけて」
ええ~><
何か居るって言われても何も見えないし・・・
私がオロオロしていると、二人はその「何か」を見つけたらしく、それがいる方向へと走り出した。

「ちょっとまって!何がいるのよ!」
二人は何かを追いかけているのだが、私にはそれがなんなのかまったくわからない。
見失うワケにもいかず私も剣を抜いて二人の後を追うしかなかった。

なぜなのかわからないが、敵を見つけたときの二人の足は(特にマーティンは)異常に早い。
彼らはそのまま森の中へ「何か」を追いかけて行ってしまい、周りの木立に視界を遮られ、私は二人を見失ってしまった。
これ以上追いかけても仕方がないので、戻って道の方に出ることにした。
待っていれば、そのうち二人は戻ってくるだろう。
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